テーブルセッティング

お茶のお稽古を以前一緒にしていた友人4人と、去年10月のベトナム旅行以来の集合。集まったのは、銀座のポルトガル料理店「ヴィラモウラ銀座本店」。久しぶりに顔を合わせても、席につけばすぐにあの頃の空気に戻ってしまうのが、長い付き合いのいいところ。話したいことが次から次へとあふれて、お料理が運ばれてくるのももどかしいくらいだった。

この日のポルトガルの白ワイン(Dão / Quinta do Correio 2024)

注いでもらったのは、ポルトガル・ダン地方の白ワイン。きりりと冷えたグラスを合わせて、さあ何から話そう、という顔が4つ。


キリのない、とりとめもない話

そこからはもう、とりとめのない其々の話。ある人は母親との喧嘩、ある人は会社の困った人たちの愚痴。誰かのこぼし話に「わかる〜」と全員でうなずいて、また次の人の番になる。

お金の話にもなる。NISAは私たちの共通言語みたいなもので、「やっぱりTOPIX買ってる?」「私はもっぱらS&P500推しなのよ」なんて、グラス片手にあれこれ。難しい顔をしているようで、内容はわりとふわっとしている。

次に行くレストランの話も忘れない。あそこが気になる、今度はあっちにしよう、と候補を挙げているうちに——結局7月は、一人の友人のお宅でのホームパーティーに決まりました! 外で食べるのもいいけれど、誰かの家でだらだら過ごすのが結局いちばん好き。


手ぶらで来ちゃったよ〜

そういえばこの日、一人の友人が、仙太郎の水無月を手土産にひとつずつ買ってきてくれていた。三角の、あの涼しげなお菓子。

それを受け取りながら、私はひそかに「手ぶらで来ちゃったよ〜」と思っていた。気が利く人はいつも気が利くし、私はいつもこうだ。次のホームパーティーは、色々買っていこう!


それでも、必ず先生の話になる

私たちの師匠は、亡くなってしまった。もう5年になる。こうして集まると、どんなに笑って騒いだあとでも、必ず先生の話になる。いてくれたら、この席にもきっと当たり前のように座っていたのに。


先生のお宅での宴会

年齢があまり離れていなかったことと、先生のお人柄で——私たちは年がら年中、先生のお宅でお稽古のあとに宴会をしていた。お点前のあとの張りつめた空気が、ふっとほどけて、気づけば畳の上に笑い声が転がっている。そんな時間が当たり前のようにあった。

ワインにパン、チーズ、お惣菜を持ち寄ったり、Uberで頼んだり。誰かが買ってきたものを並べて、あれこれつまみながら、とりとめのない話で夜が更けていく。お茶なのかパーティーなのか、もうよくわからない。とにかく一緒にいることが楽しくて仕方がなかった。今こうして銀座で交わしている話も、結局あの頃と同じなのだと思う。


お別れが来るとは思わないまま

ご病気のことを伺ってからも、お稽古も、お茶会も、ご飯も、本当によく一緒に出かけた。

少しずつ痩せて、お薬の加減で色々ままならなくなっても——どうしてもお別れが来るとは、想像もしないままで。コロナ禍で、病室にお見舞いすることも叶わなかった。


看護師さんから聞いた言葉

看護師さんに、「弟子たち(私たち)との出会いが何より幸せだった」と言ってくださっていたと聞いて——私たちは声を上げて泣きました。直接お別れも言えなかったのに、最後にそんな言葉を残してくださっていたなんて。

江戸っ子先生。ちょっと短気で、お茶目で、真面目で。お稽古には厳しいのに、宴会になると一番はしゃいでいた。怒られたことも、笑わせてもらったことも、全部ひっくるめて、素敵な師匠でした。

先生。お茶、続けてますよ。そして7月は、みんなでホームパーティーです。


お店の情報

この日のお店は、コリドー街の近くにある隠れ家のようなポルトガル料理店。南部アルガルヴェ地方の名物・カタプラーナ鍋をはじめ、各地方の料理と100種類以上のポルトガルワインが揃っていて、この日の白ワインもそのなかの一本でした。

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