抹茶にも種類があって、日常的に飲んでいる薄茶(うすちゃ)と、特別な場面でいただく濃茶(こいちゃ)は、全然別のものだと思うほど違う。
薄茶は「日常のお茶」
薄茶は、茶碗に抹茶を茶杓で2杓(約2g)入れて、お湯で点てるもの。表面に泡が立って、すっきりした飲み口で苦みの中に甘みがある。ラテアートのような泡の立て方を練習するのも薄茶の稽古のひとつだ。手首のスナップを効かせて、優しく泡立てる。
お稽古では薄茶の点前を何年も繰り返す。同じことの繰り返しのように見えて、毎回少しずつ気づきがある。そこが不思議で、飽きない。
私はもう10数年になる。始まりは、裏千家の初心者のための茶道教室だった。そのころのことは茶道具のこと、少しずつわかってきたに書いた。
濃茶は「特別なお茶」
濃茶は薄茶の倍ほどの抹茶を少なめのお湯で、とろりとした状態に練り上げるもの。色も深い緑で、味は力強く、飲むというより「いただく」という感覚に近い。
初心者教室で初めて飲んだとき、あまりの濃さに目が覚めた。苦い、というより、抹茶の味が全身に広がるような感じ。お菓子を先にたっぷりいただいてから飲むのが作法で、そのバランスがちゃんと計算されているのだと後で知った。
濃茶は回し飲みが基本で、同じ茶碗を複数の人が飲み継ぐ。これも最初は戸惑ったけれど、場を共にする人たちとひとつの茶碗を分け合う感覚は、薄茶とはまた違う温かさがある。
一座建立(いちざこんりゅう)——皆で心をひとつにしてお茶を頂く、というメインコンセプトみたいなもの。だから廻し飲みしか知らなかったので、コロナ禍で色々戸惑った。各服点(かくふくだて)に変わったし、マスクをしながらお稽古をして、なかなか色々と悩ましい期間だった。
私は、濃い濃茶が好き。
お抹茶の質が全然違う
薄茶と濃茶では使う抹茶の等級が違う。濃茶には上質な抹茶が使われるので、味のなめらかさがまったく別物だ。
抹茶の名前も、一般に濃茶用は「〇〇の昔」、薄茶用は「〇〇の白」。お値段も違って、当然濃茶の方が、高い。
市販の抹茶ラテや抹茶スイーツに使われているものとは、いただき方も意味合いも全然違う。それを知ってから、日本のあちこちで売っている「抹茶味」のものを見るたびに、少し複雑な気持ちになるようになった。
わたしのような世代は、ちょっと抹茶味系は少し抵抗感。でも抹茶アイスは美味しい(笑)。
人に聞いた話だけど、最近はDEAN & DELUCAでも抹茶を販売しているらしい。ブームだね。
抹茶ラテとか、お砂糖入りは全然食指が動かないけど、きっかけづくりになるのは良いと思う。
甘くなくても、本物に触れる機会があると、小さな子供でもこの苦いお茶を頂くらしいのでビックリ。
よくある質問
Q. 茶道初心者はまず薄茶から習うのですか?
はい、多くの場合、最初は薄茶の点前から始めます。その前に、帛紗(ふくさ)のさばき方や茶筅通し、茶碗や茶杓の清め方など、お点前をひとつずつの所作に分けて練習します。これを割り稽古(わりげいこ)といいます。濃茶は薄茶がある程度できるようになってから習うことが多いです。
Q. 濃茶は苦くて飲めない人もいますか?
慣れない方には確かに苦く感じます。でもお稽古を重ねるうちに味覚が変わって、濃茶が好きになる方も多いです。先生に遠慮なく伝えてみてください。
Q. 各服点(かくふくだて)とは何ですか?
濃茶を回し飲みにせず、お客一人ひとりに別の茶碗で練って出す点前です。裏千家十三代の圓能斎が、スペイン風邪が流行していた20世紀前半に考えたとされています。コロナ禍で改めて注目されました。
Q. 抹茶の名前の「昔」と「白」は何が違うのですか?
「〇〇の昔」は濃茶用、「〇〇の白」は薄茶用の抹茶に付けられる名前です。製法は同じで、濃茶用には香りとまろやかさのある上級の抹茶を選ぶため、「昔」のほうが格上で値段も高くなります。裏千家のお家元好みでいうと、上林春松本店の「嘉辰の昔」「好古の白」、丸久小山園の「松雲の昔」「瑞泉の白」、山政小山園の「千里の昔」「悠和の白」などがあります。
Q. 薄茶1杯に使う抹茶の量はどれくらいですか?
裏千家の目安は、茶杓で2杓、約2gです。お湯は60ccほど。濃茶は茶杓に山盛り3杓で約4g、お湯は30ccほどです。