チケットを取ったときから、ずっと楽しみにしていた。スーパー歌舞伎「もののけ姫」。
あの物語が、けれんみたっぷりのスーパー歌舞伎になったらどうなるんだろう——初めての歌舞伎座の記事にそう書いてから、この日を待っていた。
私は九代目 市川中車さんのファンだ。そして今回、主役のアシタカを演じるのは、その息子の五代目 市川團子さん。中車さんは乙事主にまわっている。
新橋演舞場で、7月3日から8月23日まで。上演台本と演出は横内謙介さん、音楽は映画と同じ久石譲さん。
開演前
チケットは歌舞伎通の友人に取ってもらった。取れたと聞いたときからワクワクしていた。
当日はあいにくの雨。幕間にお弁当を買って行こうという友人の提案で、銀座三越の弁当売場で待ち合わせた。
新橋演舞場は初めて。客席中に提灯が張り巡らされているのが圧巻で、それだけでもう良い雰囲気だった。
席は前から7列目。花道からはちょっと距離があったけど、舞台に近いのは嬉しい。
幕間のお弁当
休憩中にお弁当を食べるのがお約束のようで、私は崎陽軒の穴子弁当。友人は日本橋弁松総本店の「並六 たこめし」。
お客さんたちも各々、演舞場で予約したお弁当や、私たちみたいに持ち込んだのを食べたりしていて、ホントに、幕間の過ごし方も楽しい。
今度は桟敷席にしようかな。お弁当を食べたりするのに便利かもしれない。
舞台のこと
それぞれの見せ場で、ちゃんと見得を切ってくれる。お約束に楽しかった。
見得は、役者が動きをぴたりと止めて、睨みをきかせて決める型。
ここで見得を切ってくれるよね、というところで、必ず切ってくれる(笑)。有難い。心の中は「待ってました〜」だ。
中車さん演じる乙事主が、最後に渾身の演舞を見せてくれる。超回転したあとの見得が、圧巻だった。
バタバタと鳴っていたあの音は、ツケというらしい。舞台の袖で、ツケ打ちが樫の木を欅の板に打ちつけている。見得の決めも、走る足音も、この音で作っている。
森が迫ってくるような舞台装置に引き込まれた。舞台装置の妙、贅沢な演出。ネタバレになっちゃうからあんまり言えないけど、最後の最後に、感嘆の声を上げてしまうほど素晴らしい装置が発動した。
白い森の精霊、コダマ。すっごく可愛い子役たちが演じてくれて、もう出てくるだけで幸せな気持ちになる。楽器をコロコロ鳴らしながら演じてくれるのだけれど、あれは何という楽器だったんだろう。
團子さんも上手い。けれど中車さんはやっぱり、誰よりも華やかで上手い。
気づけばアシタカと乙事主ばかり、目で追ってしまっていた。推しを観るために舞台を観ているのだから、当然と言えば当然だけど。
衣装にも、化粧にも、演舞にも負けようのない存在感。ホント、華としか表現しようがない。中車さん。
映画を観たときのような、生命の象徴たちの戦い。またドキドキハラハラさせてもらえた。
贅沢な時間だった。4時間近い舞台だけど、一瞬も飽きるということが無かった。
歌舞伎で観る「もののけ姫」
コミカルなシーンもあった。エボシ御前が守るタタラ場と、そこで踏鞴を踏んで働く女たちの様子。ああいう生の表現が、浮世離れしすぎた展開の良い重石になっているなぁと感心した。
ストーリーを知らないと解りにくい箇所もあったけど、もう一回観ても良いね〜〜。
打ち上げのビールの席で、友人と興奮して話した。
観終わって
次、何を観ようかな〜〜。
歌舞伎がドンドン好きになる。
